──聖さんと恋人関係になって、二度目の夏を迎えた。

 私は栄養士としての仕事を任されていて、聖さんたちが食べるお弁当のメニューを考えさせてもらえるようにもなった。職場でも相変わらず大きな問題はなく、充実した日々を送っている。

 そして七月七日の七夕に、私たちは籍を入れた。義兄妹から、れっきとした夫婦になったのだ。

 同じ日に、私は純白のドレスを纏い、木々の爽やかな緑に囲まれた教会にいる。ガラス張りの開放的な空間で、一緒にバージンロードを歩くのは父だ。

 父は直前まで遠慮していたが、私にとって血を分けたたったひとりの父親だから、やっぱり一緒に歩いてほしかった。母と雅臣さんも快く了承してくれたし、家族と親しい人たちしか呼ばない少人数の式だから人目も気にしなくていいし……ということで実現したのだ。

 歩いている最中からボロボロ泣いていて、皆からの微笑ましげな笑い声に包まれていた父だったが、聖さんのそばまでやってくると必死に涙を堪えて口を開く。


「聖くん、ずっと六花を支えてくれてありがとう」


 父が感じたであろうたくさんの後悔と反省、そして感謝が今の言葉にこめられている気がして、私も涙が込み上げた。