義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


『ひーくん、あそぼ!』


 ──私がそう声をかけると、彼はいつでも笑って頷いてくれた。おままごとにも、雪遊びにも付き合って、いつも優しい眼差しで見守ってくれていた。

 おままごとはなぜか夫婦役で。『ひーくんはりっかのだんなさまじゃなきゃだめなの』と譲らない私に、聖さんは『未来の旦那様に怒られそうだな……』と苦笑していたっけ。

 彼が内緒でお菓子をくれたときも、雪で滑ってまさかのキスをしてしまったときも、ふたりだけの秘密だと指切りをした。そうして誓い合った約束は、たぶん数えきれない。

 私たちが仲よくしているのを両親たちも喜んでいたし、これからも幸せな日々が続いていくと信じて疑わなかった。あの日までは。


『ごめん……ごめんな、六花』


 私を抱きしめて何度も謝った父は、ひどく沈痛な面持ちで、私と母を置いて家を出ていく。

 玄関のドアが開けられ、激しく光るフラッシュに呑まれていく父の背中に手を伸ばす。


『お父さん! お父さんを連れていかないで!』


 外にいた大勢の大人たちが悪魔に見える。泣き叫ぶ私を、母は必死に涙を堪えながら力強く抱きしめていた。