父が警察に連れていかれ、周りから心ない言葉をかけられて、幼いながらに父が悪いことをしたのだろうと理解していた。どうしてそんな行いをしたのかと、心の中でたくさん責めた。
でも今は、憎しみの感情は湧いてこない。楽しかった出来事のほうがよっぽど多いから。彼を思い出せてよかった。
瞳を潤ませながら微笑んだ、そのとき。
「すみません、菅屋さんでいらっしゃいますか?」
突然、ひとりの男性がこちらに駆け寄って声をかけてきた。手にはメモを持ち、首からカメラを提げている記者らしき人物だ。
「週刊の者ですが、筧議員と深い繋がりのあった菅屋さんに少しお話をお聞きしたくて」
やはり記者だとわかった途端、嫌悪感が湧いて肌が粟立つ。カメラを向けられたり、大勢に囲まれたりはしていなくても、取材に来る人たちが怖かった当時の感覚は今も染みついている。
父をつけてきたのか、私たちの家まで調べていたのかわからないが不快でしかない。父も同じだろう、表情を険しくして彼と向き合う。



