義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 この頃、父も軽井沢に拠点を移していて、当時から雪乃さんとはよく会っていたようだった。実家に戻った彼女に仕事を紹介したのも父だし、ふたりとも伴侶がいなくなって気遣い合っているうちに親しくなったのも自然なことだろう。

 そうして父伝いに六花の様子を耳にした俺は、家庭教師をしようかと提案した。彼女が悩んでいると知ったら、助けずにはいられなくて。

 まだ東京で司法修習生として一年半ほど過ごさなければならないため、勉強を教えられる頻度は少ない。雪乃さんも最初は遠慮していたが、俺がそうしたいのだと言うと、『あの子のためにいつもありがとう』と承諾してくれたのだった。

 六花には、まずお試しと称して少しだけ一緒にやってみて、続けるかどうかを決めてもらうことにした。

 約三年ぶりに会う六花はあどけなさを残しつつも大人びていて、もうあの頃の彼女ではないのだと実感させられる。俺のこともすっかり忘れてしまい、初対面として接するのは切なくもあったが……。


「聖さん、すごくいい人でよかった。これからよろしくお願いします」


 安心したように笑って家庭教師を承諾した彼女を見て、錆びついた心の歯車が動き出したような気がした。

 また六花の笑顔が見られる。力になってやれる。それだけで、俺は幸せだ。