「俺も……ずっとそばにいる。ずっと、六花を守るよ」
そう約束した俺の中にあるのは、恋愛感情とも家族愛ともつかない特別な感情。ただただ、この子を傷つけたくないと思った。
そして、六花のような弱い立場の者を全力で守る弁護士になろうと、改めて決意した瞬間でもあった。
しかし、当時の俺にこの約束は果たせなかった。菅屋さんが逮捕された数か月後、雪乃さんは離婚することを決め、六花とふたりで雪乃さんの故郷である軽井沢に帰ることになったのだ。
やはり周囲の目が厳しく、生活しづらくなってしまったらしい。六花も学校で心ない言葉をかけられたりして悩んでいたため、転校するのも反対しなかったようだ。
彼女たちが心穏やかに過ごせるのが一番だと、寂しくはあったが明るく送り出すことにした。名残惜しそうにしていた六花に、『また会いに行くよ』と約束して。
ただ、雪乃さんの実家は軽井沢の中でも辺鄙なほうで、車がないと行くのは難しい。まだ免許を持っていなかった俺は、空いた時間を縫って教習所に通った。
免許を取っても車を買わなければどうしようもない。父には頼りたくなかったので資金を稼ぐためバイトに精を出し、もちろん勉強にも励む。
それらの両立はかなり大変で、気がつけば六花と離れてから一年が経とうとしていた。



