「彼女が嫌がっているにもかかわらず話を聞くこと自体に問題があります。子供は守られる権利がある。行き過ぎた取材は、プライバシーだけでなく子供の権利条約の侵害にもあたります。報道の自由があるとはいえ、それらを無視していいわけではない。限度をわきまえてください」
伊達に法律の勉強をしているわけじゃない。知識という武器を持っていてよかった。
たかが大学生にここまで言い返されると思わなかったのか、彼らは面食らったように黙り込んだ。そのうちのひとりが、苦し紛れに口を開く。
「いや、俺たちは──」
「この子はまだ八歳です。すでに傷を負っているのに、こうやって押しかける行為がさらに傷を抉るのだと、想像すればわかるでしょう。法律以前の問題だ。それに、こんなふうにしているとあなた方が非難されるだけですよ」
反論する暇を与えさせず言葉を浴びせ、視線を周りに向けた。それにつられて目をやった彼らは、近所の人々から忌々しげな注目を浴びていることに気づいたらしい。
怯んでカメラやレコーダーを持つ手を下ろした彼らに「二度と来ないでください」と告げ、六花の手を引いて家の中へ入った。



