──ところが、俺が大学に通い始めた矢先、筧の秘書だった六花の父親に収賄疑惑が持ち上がった。ニュースでそれを知った俺は愕然とした。
菅屋さんはとても性格のいい人で、きな臭い政治家のイメージはまったくない人物。収賄なんて浅はかなマネをする人だとは思えない。
俺の父も信じてはいなかったが、小出しにされる情報は悪いものばかりで、数週間後にはついに逮捕されるに至ってしまった。ニュースでは六花たちの自宅の前にマスコミが押し寄せる映像が流れる。
心配でいてもたってもいられなくなった俺は、雪乃さんに電話をかけた。
『ありがとね、聖くん』と言う彼女は、声の印象では思ったよりも元気そうだったが、なんとか気丈に振る舞っていたのだろう。
『私は大丈夫だけど、六花がね……。家の前であの人がたくさんの報道陣に囲まれて、警察の車に乗り込むのを見ていたからショックが大きかったみたいで。すっかり元気がなくなっちゃって』
つらそうな調子で語られたのは六花のこと。まだ八歳なのだ、わけもわからず目の前で父親が連れていかれるのは衝撃的だっただろう。
学校も休みがちになっているようで、とにかく会って元気づけてやりたいと思った俺は、近いうちに彼女の家へ行こうと決めた。



