「こっちは雪がいっぱいでいいなぁ~」
「東京では滅多に積もらないもんな」
寒さも雪もこちらに暮らしていると珍しくないし、むしろ面倒が増える。でも六花が喜んでいるのを見ると、雪深いこの町も捨てたもんじゃないなと、少しだけ田舎が好きになった。
しゃがんで真っ白な世界を眺めながらそんなふうに思っていたとき、雪うさぎを作ってこちらに向かってきた六花が、つるっと足を滑らせた。
「わっ!」と声を上げて前のめりになる彼女を慌てて支えようとした瞬間、小さな身体が俺の腕の中に飛び込んできて──ふに、と唇が触れ合った。
一瞬、俺も六花もなにが起こったかわからず、抱き合うような状態で目を見合わせる。とりあえずケガをしていないだろうかと「だ、大丈夫?」と問いかけると、目をぱちくりさせていた彼女がぷはっと噴き出した。
「きゃはははっ! ちゅってしちゃった~ちゅって!」
「声が大きい!」
あられもないことを言うので、俺は慌ててしーっと人差し指を口に当てた。誰かの耳に入って淫行だと疑われたらシャレにならない。



