胸がひどくざわめき、表情が強張る。
「ずいぶん前の事件だから私も判例を調べていて知ったんだけど、私の伯父が菅屋の弁護人だったらしくて印象に残ってるわ」
碓氷さんがそう続け、私は少し目線を上げる。そんな繋がりがあるなら、もっとプライベートなことも知っているかもしれない。
「菅屋さんに家族はいたんでしょうか?」
「当時、奥様と八歳の娘さんがいたそうよ。事件のあと離婚してしまったって。かなり話題になった事件らしいから、家族は大変だったでしょうね」
聞けば聞くほど、自分の生い立ちに重なる気がして愕然とした。
十二年前、私は八歳で東京に住んでいた。ありえないと思いながらも、もう一度画像をスクロールしてみる。
すると、とある家から出てくる菅屋さんの写真があり、ひゅっと息を呑んだ。その家の外観は、私が当時住んでいた家とよく似ていたから。
さっきの映像がより鮮明なものになって再び脳裏をよぎる。これはやはり、菅屋さんがマスコミに囲まれたときのものじゃないだろうか。目の前の人々が大きく見えたのは、子供目線だったからだとすれば……。



