義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 コンビニの前を通りかかったところで、例の火事を起こした家が見えてきた。

 火はようやく収まってきたようだが、周囲には焦げ臭さが漂う。そして遠巻きに眺める近所の住人と、報道陣がたくさん集まっていた。

 火事の悲惨さを物語る、黒焦げになった家に向けてフラッシュが光る。肩に重そうな機材を担いだカメラマン、それに向かって話すマイクを持った記者がいて──。

 それらの様子を目にした瞬間、くらりとめまいがして、あの頭痛に襲われた。足を止め、顔をしかめて片手で頭を抱える。

 また、この感覚……。でも、今回はいつもと違う。なにかの映像と騒がしい声が、勝手に頭の中に流れてくる。

 ──暗い中、何度もフラッシュが光っている。自分より大きな人がたくさん目の前にいて、皆マイクを持っている。

 それを向けられるのは、私ではない誰かだ。背中を向けていて顔は見えない。


菅屋(すげのや)議員!』


 突然、聞き慣れない名前を呼ぶ誰かの声が響き、閉じていた瞳をぱっと開いた。

 ……今のはなに? 私の記憶? 自分でも知らない自分がいるようで、なんだか気味が悪い。