義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


「もうすぐゴールデンウイークだね。私、二連休なら取れたんだけど、お母さんたちがまた皆でどこか行こうって計画してるみたいだよ」


 私たちの職種はカレンダー通りの休みではなく、なかなかまとまった休日が取れない。家族全員で休みが合う日も貴重になってきたので、母たちはここぞとばかりにプチ家族旅行の計画を立てているようだ。

 それでも聖さんと過ごせることに変わりはないからいいけどね。なんて思いながら話しかけたのだが、彼は反応せずテレビをじっと見つめている。


『収賄罪などの罪に問われている衆院議員の筧被告ですが、初公判が五月二十八日に東京地裁で開かれることが明らかになりました。この事件は、昨年十一月……』


 ワイドショーでは、ここのところ騒がれている政治家の汚職事件についてアナウンサーが読み上げている。

 テレビから彼に目線を戻して、一瞬ドキリとした。怖さまで感じる冷徹な瞳は、ストーカー男に対して見せた、弁護士としてのそれを彷彿とさせたから。


「……聖さん?」


 遠慮がちに呼びかけると、彼ははっとした様子で「ああ、悪い」と短く謝った。そして目線を手元に戻し、スープを口に運ぶ。