目を据わらせて物申す聖さんだが、微妙な間があったのであながち間違ってはいないのかもしれない。

 無神経とまではいかなくとも、両親に悪いだとか世間体だとかはあまり気にしていなさそうだなと思うと、ちょっぴり笑ってしまう。

 それはさておき、雅臣さんたちには〝再婚したせいで〟なんて罪悪感を持ってほしくない。


「確かに悩んだけど、ふたりの再婚は本当に嬉しかったから、悪いなんて思わないで」
「六花……」


 明るく声をかけると、母は眉を下げて微笑んだ。


「こんなにいい子、聖にはもったいない気がしてきた」
「おい」


 真顔で呟く雅臣さんに、聖さんが仏頂面でツッコむも、すぐに表情を柔らかくして話し始める。


「でも本当に、六花は俺にとって宝物みたいな存在で。すごく素直で心の綺麗な子だから、それを守っていきたいと思うよ。生半可な気持ちじゃないから、雪乃さんも安心して俺に任せてください」


 まるで結婚の挨拶をしているみたいで、私は誠実な彼の横顔を見つめて胸を高鳴らせた。

 こんなふうに想われていたのかと、嬉しくてたまらなくなる。もったいないのは私のほうだ。