「もしうまく説明ができなそうなら、私が同行したり代理人として警察に出向いたりもできますよ。着手金として二十万、ストーカー行為をやめさせることができた暁にはさらに成功報酬をいただきますが」
さらりと告げられた費用の額に、私のほうが驚いて声を上げる。
「最低で二十万⁉」
「これでもうちは安いほうです。すみませんね、弁護士には学割が効かなくて」
口では茶化しているが、これが弁護士のビジネスなのだ。相手が学生だろうと、義妹の友達だろうともちろん関係なく、サービスするなどという甘い考えは存在しない。
シビアな世界を目の当たりにして言葉を失うも、聖さんの瞳は真剣だ。
「その代わり、必ずあなたをお守りすると誓います」
力強く放たれたひと言は、アキちゃんの胸にもしっかり届いたようだった。
その後もいろいろとアドバイスをしてくれたものの、聖さんはどことなく表情を硬くしていた。アキちゃんにいくつか質問したあと、なにかを決意したような調子で口を開く。
「念のため、今日は私が家までお送りしましょう。私も帰るついでですから、料金はいただきません」
「いえ、そこまでしていただかなくても……!」
遠慮するアキちゃんに、聖さんは厳しい面持ちで言う。



