聖さんががっつり仕事している姿を見るのも初めてだ。胸にひまわりと天秤をモチーフにした金色のバッジがついていてカッコいい。
アキちゃんが困っているというのに不謹慎だが、聖さんがどうやって問題を解決していくのかは興味がある。
「どうぞこちらへ」と案内されて二階へ向かう最中、デスクに座っていた碓氷さんと目が合う。チクリと胸が痛むのを感じつつ笑みを作って会釈すると、彼女は無表情のまま軽く頭を下げた。
小さな個室に入り、アキちゃんと並んで席につく。法律事務所とは思えないカフェのような落ち着く部屋の中で、さっそく詳しい話を始めた。
つきまとっている男は室谷という苗字で、年齢は三十代後半。これまで面識はなく、隣町に住んでいて職場が軽井沢にあるらしい。
彼に話しかけられたときに、警戒したアキちゃんはさりげなくここまでの情報を引き出していたようで、その冷静さに感心した。
メモを取りながら一部始終を聞いた聖さんは、頭の中で考えをまとめている様子で小さく頷く。
「なるほど。そして今日は六花とふたりで会っていたと……」
だから、そこ強調しなくても。とツッコみたくなったがやめておく。



