義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 ふたりで並んで座り、彼は足を組みながら一度周りを見回したあと、重そうな口を開く。


「実は、実家に戻ってきてからやたらと会う男がいるんだ。普段は女として生活してるから、そのたび『今度遊ぼうよ』って誘われて」
「え」
「気味悪いなと思って、拒否し続けてたんだけどさ。その人……さっきのカフェにも、今もいるのが見えて」
「えぇっ!?」


 まったく予期しなかった話についすっとんきょうな声を上げ、行き交う人々の注目を浴びてしまった。アキちゃんはやや眉根を寄せて腕を組む。


「別になにかされるわけじゃないんだけど、家の付近とか駅とか、行く先々で見かけるっておかしいよね?」
「絶対つけられてるよ!」


 なんだか他人事のような調子なので、私は声を抑えながらもツッコんだ。

 それは完全にストーカーでしょう! いつからついてきているんだろう……怖すぎる。こうしている今もどこかで監視しているんだろうか。

 自分が狙われているわけではないのにビクビクしてしまう私に対し、アキちゃんは困ってはいても怖がっている様子はない。前から肝が据わっている人だと思っていたけれど、今も自分のことより私に対して申し訳なさそうにしている。