義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 六花も冬期休業が終わり再び短大に通い始めると、顔を合わせる時間はぐっと減った。朝のコーヒーだけは一緒に飲んでいるが、深い話をする機会はなく、結局俺たちは義兄妹の関係を保っている。

 そんな中、碓氷親子と食事会をする日がやってきた。

 二月上旬の土曜日、午後六時に父と訪れたのは、接待でもよく使われる日本料理の高級店。和とフレンチが融合した料理が高く評価されていて、店内の雰囲気もスタッフの接客態度もいい。

 坪庭が見える座敷の個室に案内され、皆で挨拶をした。碓氷さんは黒のニットワンピース姿で、カッチリとした仕事中とはまた違った雰囲気だ。

 初めて顔を合わせた、地方銀行の頭取である碓氷父は、威厳がありつつも人のよさそうな細身の男性。眼鏡をかけ、白髪交じりの髪も清潔感のある形に整えられている。


「君が聖くんか。水篠さんに似ずイケメンだな」
「お父さん」


 いたずらっぽく笑って冗談を口にする頭取に、碓氷さんは目を据わらせて咎めるように言った。

 父は自分の顔を指差し、「ちょっとは似てるでしょう。この、目の、この辺りとか」なんて不服そうに訴えている。