義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 いざこういう話をされると戸惑ってしまうな……と、なんだか父親のような気分で話を続ける。


『六花もその子が好きなの?』
『うーん、聖さんみたいに優しくないし、落ち着きもないし、なんていうか……大人の余裕?みたいなのもないしなぁ』


 そりゃ、大人の余裕は中学生にはないだろ。というか、基準は俺なのか。

 くるくるとペン回しをしながら考える彼女に、心の中でツッコんで苦笑した。やはり彼女に最も近い存在の異性は自分なのだと、このときに実感した。

 しばし悩んだあと、決断したらしい彼女はしゃきっと背筋を伸ばす。

『やっぱり違う。お断りしよ。彼氏とデートするより、聖さんと一緒にいたほうが楽しいもん』


 無邪気な笑顔を向けられ、胸がくすぐったくなるのを感じた。

 当時の六花はまだ恋をするということをよくわかっていない様子で、俺も彼女を恋愛対象としては見ていなかった。というか、大切にしたい気持ちはあったが、それこそ妹に対するようなものだと思っていたのだ。

 しかし今は、お互いに恋愛感情がどういうものか理解している。大人になった六花は、どう答えるのだろう。