義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 話を聞いてみると、先ほどの男は、普段は女性として一緒に遊んでいるアキちゃんだという。

 そういえば、六花の口からよく出てくる名前は小夏ちゃんとアキちゃんだ。彼女の事情は知らなかったが、高校生の頃に女子三人で遊んでいるのを見たことがある。だから顔に見覚えがあったのかと納得した。

 どうやら、アキちゃんは男として六花のことが好きらしい。男だろうが女だろうが、彼女に恋愛感情を持たれては困るが、当の本人はどうなのだろうか。


「六花は誰が好き?」


 ストレートに確認する俺の脳内に、ふいにデジャヴュのように昔の記憶が蘇る。そういえば以前も、似たやり取りをしたことがあった。

 確か中学三年の春頃、勉強を教えている最中、六花が珍しく上の空だったのでなにかあったのか尋ねたときのこと。


『男子に好きって言われた』


 思わずバッと勢いよく振り向き、彼女を凝視してしまった。六花の口から自身の恋愛話が出たのは初めてだったから。

 贔屓目に見ても、六花はアイドルとして活躍できそうなほど可愛い。性格もいいこの子が告白されるのは当然だろうし、むしろ今までそういう話がなかったのが不思議なくらいだ。