義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 ──六花が男に抱かれている。その様子を実際に目にするのは想像以上に衝撃的で、心の中が一瞬で黒い感情に支配されていく。


「聖さん……!?」


 俺に気づいて瞠目する六花に、表面上は平静さを保って近づき、相手の男に上辺の挨拶をした。

 彼の中性的な顔には見覚えがあるような気がしたが、早く彼女を取り戻したい気持ちが勝って六花に手を差し出す。


「約束の時間だよ。帰ろう、俺たちの家に」


 なるべくいつも通りに言ったつもりが、威圧感が滲み出ていると自分でもわかった。

 六花は複雑な表情をしたまま、俺の手を取ろうとしない。まるで拒絶されたようで胸が痛んだ。

 そんなにこの男と一緒にいたいのだろうか。だとしても、もう易々と手渡すわけにはいかない。同年代の男のほうが彼女にとってはいいだとか、そんなくだらない考えはいつの間にか消え去っている。

 少々強引に彼女の手を取り、四季咲を出る。外は極寒なので、彼女の肩を抱いて車へと急いだ。

 六花は友人との楽しい時間を中断させられたことが気に入らないのか、俺が不機嫌だからか、口を尖らせて「聖さん、怖い」と漏らす。

 少し冷静になってくると大人気なかったかと思い、素直に謝った。