数日後、六花は成人式を迎えた。
美容院で髪を華やかなアップにし、鮮やかな振袖に身を包んだ彼女は驚くほど美しくて、カメラマンさながらに何枚も写真を撮った。
六花には呆れた調子で『まだ撮るの?』と笑われたが、どうだっていい。一度しかない、彼女にとっても大切な姿なのだから。
しかし一方で、俺には不安もあった。当然ながら、成人式には男たちも大勢集まり、式のあとには同窓会も開かれるだろう。着飾った姿は何割も増してよく見えるというし、久しぶりに会った友人と恋が生まれても不思議じゃない。
しかも、酒を飲むつもりだとも言っていた。場所は小夏ちゃんの両親が営む四季咲らしいから大丈夫だと思うが、万が一もありえる。
六花と話して飲み会は午後十時半までと決め、その時刻になったら迎えに行くと約束した。
そうして約束通り四季咲に向かい、駐車場に停めた車の中で六花に〝着いたよ〟とメッセージを送った。
ところが、しばらく待っても返事が来ない。既読にすらならないのでやや心配になり、俺も店の中へ向かう。
店内に入った瞬間、目に飛び込んできた光景に唖然とした。



