義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~


 怖がっているのではなく、敏感に反応しているだけだとわかる。その顔が恥ずかしそうにみるみる赤く染まっていくから。

 なにかを堪えるように一度ぎゅっと瞼を閉じた六花は、逃げ出そうともがき始める。


「っ……ちょ、ちょっと、セクハラー!」
「残念。職場じゃないとセクハラには該当しません」
「え、そうなの!?」


 文句をつけたものの、セクハラの基準をよくわかっていなかったらしく目を丸くしてこちらを振り向いた。ずっと目を合わせなかったのに、一瞬意識が逸れる単純さも可愛い。

 すぐに唇を奪えるくらいの距離で、俺はもう逃がさないといわんばかりに視線を絡ませ、「それに」と続ける。


「俺に触れられているあなたは、嫌がっているようには見えない」


 腰を抱く腕に少し力を込めて確信を突くと、六花の見開いた瞳が揺れた。

 相手が不快感を抱いていたとして、それに気づかないほど俺は鈍感な男じゃない。六花が好意を寄せてくれていると感じるのも、俺の自惚れではないはず。

 いい加減に飛び越えてしまおうか、彼女を縛る義兄妹という境界線を──。