ダンッ!!と、思わずテーブルを叩きながら立ち上がってしまった。
その一瞬、ずっと背中を向けているパーカーのひとに視線を移してしまって。
彼はいまどんな顔をして聞いてるだろうって考えてしまった。
「いつも守って欲しかったのになんで居ないの…!?娘が高校デビューのために伸ばしてた髪切って…男になってまで夜の街に飛び出したって……っ、
お母さんは雑貨屋さんに夢中で助けてもくれなかったね……!!」
それどころか連絡すら1回もないよ。
私が死に物狂いで逃げてたとき、あなたはこんなに平和な雑貨屋さんを営んでたなんて。
許せる?そんなの。
だって私、推薦入学が決まってた高校だってぜんぶ白紙だよ…?
風俗にからだ売り飛ばされてたとこだったんだよ…?
「…ひとりぼっち…だったよ私は、」
「……澪…、」
「でもそんな私を…あるとき助けてくれた人がいて、その人は私を匿ってくれて……願ったことをぜんぶ叶えてくれちゃう、すごい人…だよ」
スッと大人しく座りなおす。
まだひとくちも飲んでいなかったオレンジジュースはきっと、氷が溶けて薄まってる。
ごくっと飲んでから、言葉を失うお母さんを見つめた。



