シャワー浴びたんだ…。
いつもの匂いだから、ここに帰って来てから浴びたってことだ。
ってことはだ、ってことは……。
やっぱりそういうことだったってこと。
「電話もメールも繋がらないし、みんな知らないって言ってて心配したんだよ」
「…ご、ごめん」
「どこ行ってた───…」
さっちゃんの声は止まった。
私を抱きしめた腕の力がもっと加わって、くいっと引き寄せてくる。
それは私の斜めうしろに立っているもう1人を目にしたからで。
「なんで…侑李が、」
「今にも死にそうだった迷子の猫をお届けに参りました」
「…藪島組に追われたの?」
「いいや、それとはまたちがう理由」
「ちがう理由?」と、さっちゃんはどんどん追い込んでいく。
圧迫するような空気に窒息してしまいそうだった。
でもねさっちゃん、今日ね、少し五十嵐 侑李の裏に隠されたものが一瞬でも見えたような気がしたんだよ。
その一瞬が1秒、5秒、10秒って長くなったとき、2人はきっと元の関係に戻れるんじゃないかとも思った。



