カラオケを出た先で、つい目に入ったもの。
グレーアッシュの隙間からキラッと光った垂れ下がる十字ピアスは、あまり高価なものではなさそう。
常にアクセサリーや真珠を盗む生活をしていると、一目見ただけでどれくらいの価値があるかが分かってしまうようになった。
「大切なものなんだね」
「……なんで?」
「そんな顔してたからっ」
デコピンを食らわせられちゃうような危機を感じて、サッとおでこを隠す。
逃げ足だけは速いからタタタタタッと小走りに街を駆ければ完了。
気づけば空は夕暮れ、雨も止んでいた。
「五十嵐くんはどこに住んでるの?」
「おい名前」
「あっ、五十嵐パイセン…」
「ねぇ頭わるいのおまえ」
だってちょっと気に入っちゃったし、黒マスクは外してるみたいだから黒マスク先輩ではないし。
さっちゃんと、五十嵐パイセン。
ずっとこうして呼び続けてれば、また2人が仲良くなるんじゃない?とも。
ほら継続は力なり!!って言うしっ!
「俺はもう半分ヤクザみたいなものだよ。カシラに気に入られちゃってさ、藪島のオフィス借りてる」
「…そう、なんだ」



