「皐月の親父は議員もやってるけど、有名な資産家でもある。あいつはそこの跡取りでもあるから色々大変なんだよ」
「……さっちゃんのこと、よーく知ってるんだねぇオニイサン」
「……」
うぐっと、言葉に詰まったような珍しい顔を見つけてしまった。
もちろん見逃しはしませんよ私は。
だってこれでも一応“射止めたなら一生”、そんな男が率いる窃盗団のナンバー5ですから。
「そりゃさっちゃんと幼なじみだもんねぇ、α9の立ち上げメンバーで仲が良かったんだもんねぇ」
「…どこまで知ってんの、おまえ」
「五十嵐くんがほんとは誰よりも鹿野兄弟を大切に思ってることくらいまで」
これは言ってしまえば賭けだった。
まだハッキリと明確ではないし、私の勝手たる見解でしかないけど。
でもS.Roberを潰そうとしたのだって、さっちゃんを煽るような行動だって。
それはぜんぶ何かのメッセージなんじゃないかなって、いつも私は感じてた。
早く逃げろ───なんて言ってるんじゃないかって。
ほら、いまだって言葉が止まってる。
一瞬でも眉がピクッとつり上がった。



