ぐっと堪えるけれど、目の前のホテルに消えた背中の現像をいまも脳内は作り出してる。
さっちゃん、やっぱり好きなのかな…あの人こと。
めちゃくちゃ綺麗だし、そんな子に泣かれちゃったらさすがに男は誰だってイチコロだ。
「はぁ。…とりあえずカラオケでもいく?」
見かねた私の手を引いて、五十嵐パイセンはUターン。
なにこれ…なんか失恋した子を励ます会みたいな空気感なんだけど。
え、私って失恋したの…?
失恋……?
失恋ってことは私ってさっちゃんのことが好きだったってこと…?
「え、そうだったの!?!?いつから!?いつからなの自分っっ!!」
キィィィィン!!!
タッチパネルを操作していた男の肩が飛び起きるようにビクッとふるえた。
「うるせーな!!俺の鼓膜やぶる気かお前…!!」
「それでは聞いてください、“さよならの向こう側”」
「おい、勝手に歌い始めんな。てかおまえ下手すぎ。それにセレクト古すぎでしょ」
だって歌いたいんだもん。
勝手に連れてきたのはあなたなんだから、ここは最後まで責任とってもらわなくちゃ困りますけども。
パーードゥゥン??



