「戻って来なよ、α9に。こんなとこじゃ物足りないだろ?」
「…俺は自分の意思で皐月について来てる。どちらにせよ今の侑李とは分かり合えねぇな」
「そう?変わっちゃったな、お前も」
ほら、またその顔だ。
私は五十嵐 侑李の表情にはいつも違和感を覚えてしまう。
だってすごく───…寂しそうだから。
「みお、だっけ?」
すると今度、私を見つめてきた。
鋭くて尖った牙のような目は、すぐに後退って逃げてしまいたくなる。
「お前がS.Roberに居るってウワサ、俺たちにも回ってるよ。そろそろ終わるね、ここも」
なぁ、皐月───と、からかうように移された言葉。
“俺たち”とはα9ってことじゃなくて、そのもっと上。
藪島組ってことだろう。
「こんなやつを仲間にして、また睦月の二の舞にしたいの?」
「…今度こそ僕が守るよ」
「むりむり。さっさと観羅伎町から出てけよ」
「うぐ…ッ!!」
見えなかった。
まばたきをしてしまったからなのか、それともただ単に速すぎる攻撃だったのか。
「鹿野さん……!!」
「さっちゃん…っ!!」
お腹を押さえながら、さっちゃんは地面にドサッと膝をついた。
五十嵐から入れられた拳によって。



