タタタタタタッと足音が聞こえたかと思えば、名前が呼ばれて肩をぐいっとうしろに引っ張られた。
「え、さっちゃん!?なんで!?」
「お父さんとこ、行ったって聞いて…っ、蘭くんから、」
息を切らしながらも伝えてくれる。
そんなに走ってたの……?
いつも任務でたくさん走っても余裕そうな、とてつもないスタミナの持ち主さっちゃんが。
めちゃくちゃはぁはぁしてる……!!
「なんで僕に言わないの、」
「…あ、すごく気持ち良さそうに寝てたから起こすのも可哀想かなって、」
「メールでも言えたでしょ、」
「……ごめん、わすれてた」
これ、本当です。
嘘じゃないよ?
本当にすっかり忘れてて…。
さっちゃんがどうでもいいとか、さっちゃんのこと考えてないとか、もちろんそうじゃなくて。
ただお父さんに会ったら何を話そう、どんな顔をしようって電車の中でずっと考えてたから。
「ごめんさっちゃ───うむぅっ」
「お仕置き」
右手でほっぺたをサンドイッチ。
むぎゅっと真ん中に寄った変顔に、さっちゃんは自分でやったくせ、ぷはっと吐き出した。



