「でもまだ娘さんは話したそうですよ…?」
「もう…いいです。ありがとうございました」
この場から今すぐにでも立ち去りたかったんだろうなって。
お父さんは私の顔を一切見ずに言い放って、逃げるように出て行った。
ぽつんと取り残された私に、警察官さんは困ったように優しく微笑む。
「会いに来てくれてありがとうね。きっとお父さんも本当は嬉しいはずだよ」
って、逃げられちゃいましたけど。
あの顔は確実に娘からの質問に怯えている顔だった。
なにも聞かないでくれ、なにも言わないでくれ───。
お父さんの背中はそう言っていた。
「あの、お父さんはどんな生活をしてますか…?」
10分もしないうちに終わってしまった面会。
せめて何か情報を得て帰りたいと思って、警察官さんにそんな質問をしてみた。
「静かですよ、すごく。毎日規則正しい生活をして、ちゃんと真面目に暮らしています」
「…そう、ですか」
娘の心配を一切口にすることなく逃げて行ったお父さんが真面目な人だなんて。



