いつの間にか近づいている梅雨の匂い。
雨が降りそうな空に、折り畳み傘を持って来ていない後悔も今はどうでもよかった。
「はっ、はぁ…っ、」
任務じゃない昼間は太陽の眩しさにカチッとモードが変わらない。
足だって遅くなるし、あんな夢を見たからか身体もどことなく重くて。
「…いない、…どこ行ったんだよミオ」
昼間でも薄暗い路地裏。
お昼時ということもあって、換気扇から回った空気が生ぬるく視界を煽ってくる。
「颯!ミオ知らない!?」
『え、クマ?知らないけど…。あ!そうだ鹿野さん!とうとうボクのモンスターが進化───』
ごめん颯。
今度たっぷり話を聞いて一緒にゲームしてあげるから今日は許して。
今はそれどころじゃないと、それすらも伝えずピッと切った。
『鹿野さん!任務っすか!?』
「秀平、ミオがどこにいるか知ってるっ?」
『澪なら寿司を食べに来てくれたっす!昨日!』
それだけ聞いて同じように切った。
ミオが行きそうな場所、行きたいと言っていたお店、隅から隅まで考えられるところを回って。



