篠塚春姫(しのづかはるひ)、高校2年生。


高校生になって2度目の春を迎えたというのに、晴れやかな気持ちになったことは1度もない。


親も友達もいない。


孤独が私の代名詞だった。


友達がほしいと思っても、クラスメートとの関わり方がわからなかった。


教室の隅で寝たフリをして、友達がいないから一人ぼっちなんだってことを必死で隠していた。


そんな惨めな自分が大嫌いだった。


教室でキャッキャと騒ぐ女の子たちが羨ましかった。


それと同時に、キラキラした世界で怖かった。


そんな私を、救ってくれたのが真翔だった。


黒羽真翔(くろはねまさと)。


彼が、関東で名の知れた暴走族、黒龍(こくりゅう)の総長だと知ったのは、付き合い始めてからのこと。


出会ったときの真翔は、とても暴走族の一員には見えなかった。