あの日の約束

今までずっとりっくんと呼んでいたので他の呼び方なんて思いつかない。
「りくでいいよ」
「えっ?でも、いきなり呼び捨ては…。クラスの人達も不思議に思うだろうし」
めいがモゴモゴと言い訳を口にしていると深い溜息をつかれてしまった。
「はあ~。俺がいいって言ってんだから関係ねえよ。ほら、呼んでみろ」
「うーん、じゃあ、りく…」
声に出した途端、恥ずかしくなり下を向いた。
「よくできました」
そう言って、頭にりっくんの手が載せられていることに数秒経ってから気づいた。
思わず顔を上げると、りっくんが優しい笑顔を浮かべており、その笑顔に見とれて固まっていると昼休みを告げるチャイムが校内に響いた。