「遊覧船乗り場に行きたいんです…」

小さな声で答えると、シュウジは、

「歩いてすぐだから、案内するよ」

そう言って、一緒に湖へ向かった。

「君…えっと…」

名前を聞きたいのかと思い、日野ですと答えた。

「そっか…じゃあピノコって呼んでいいかな?俺はシュウジでいいよ」

ちょっと…一体何なんだろう、この人は…?

呆気にとられながらも、小さくうなずいた。

私のこと、あだ名で呼ぶ人なんていないから…もしかしたら満更でもなかったのかもしれない。