多分これが〝嫉妬〟っていうものなんだろうけど、必然的に嫌と思ってしまう。


愛莉ちゃんと話しているときも。
裕太くんと話しているときも。


2人の何気ない会話が耳に入って、そっちばかり気にしちゃう。



そんなとき、休み時間にある人物と鉢合わせした。


「尚先輩…お久しぶりです」


夏休みのあの日以来だったから、どこか緊張する。


随分待たせちゃったし、なによりちゃんと言わないといけないよね。


「久しぶり。なんか髪伸びたね、可愛いよ」


「あ、ありがとうございます」



束の間の沈黙。



言わないと。尚先輩とは付き合えないって!



「あの、今少し良いですか?」


覗き込むように聞けば、その意図を理解したらしく、「うん。いいよ」と言ってくれた。



先輩を人気の少ない廊下の隅に連れていって、改めて気持ちを伝える。