いつもの和やかな尚先輩じゃなかった。

ちゃんと〝男の人〟だった。


「せんぱー…」


「好きだよ」


「……っ」


え?いまなんて…?

たしかにハッキリと聞こえた言葉。


【好きだよ】


何度も何度もリピートされて、やっと私に向けて言われた言葉なんだって理解した。


そんなとき。


ドーン!と今までで1番大きな花火が空一面に広がった。



「俺と付き合ってほしい」


真剣なその瞳。そして頬はうっすらと赤みがかかっている。



__私はなにも言えなかった。


それよりもある人物が心のどこかにいたから、何も言えなかったんだと思う。