「はる、くん?」


「心配させんな、バカ」


ぎゅっと私を強く抱きしめる。


…っ、来てくれた。

もう誰も来てくれないかと思った。



「急に消えんなよっ。マジで心配したから」


「…ごめん。でも、来てくれてありがとう」



コテっと、ハルくんの胸板に頭を傾ける。


そっと、割れ物に触れるように優しく、ハルくんが私の頭を撫でる。


そのままグッとさらに引き寄せるものだから、ハルくんの心臓の音がすぐ横で聞こえるの。



トクン…トクンって。


「早くここから出るぞ。…俺に掴まって」


歩く体力なんて余っていなかった私を、軽々と持ち上げてお姫様抱っこをした。



まるでドラマのワンシーンみたいだった。


1人のヒーローが、ヒロインのために駆けつけて助けてくれるの。