「凛ちゃんと帰っていなかったのは、凛ちゃんが用事で先に帰らなきゃいけないって言ってて………紺くんに抱き締められていたのは…………」


言葉に詰まった私。


「ほーら言えないんだ?今日は部活、早く終わったから急いで来たっていうのに。浮気なんかしてたんだ~?」


あからさまに怒っている顔。


さっきのほんのちょっと優しい顔が変わっちゃった………

「う、浮気なんかじゃないもんっ!」


ちょっと子供みたいな言い方になっちゃったけど必死に訴えないと………!


「ふーん。美雨は俺が他の女と抱き合っててもいいんだね……?」


…………え?


抱き合っている………抱き合っている………


「や、やだっ!やだやだやだっ!楓くんが誰かのものになっちゃうのなんてダメっ!ごめんなさい………私が悪かったからっ……そんなこと言わないで……!」

頭を何回も横に振って言った。


ついには涙まで出てきてしまった。


「ふ、楓くん……っ」