「こないだ駄菓子買ったんだけどさ」

「うん?」

「10円なめてたわ」

「銅ってどんな味する?」

「うるせえですよ、そういうこと言ってるんじゃなくてな」

「はいはい」



10円で世界ってこんなに輝くんだな。俺さ、最近ゲームとか漫画とかそういうのばっかりで。もしくはバイトばっかりで。価値をはかるものさしが廃れてた。



そうなんだあ、とのんびり口にしたあたりで、だからさ、なんて町川の声のトーンが変わったことに気がつく。



「茅ヶ崎も行こう」

「え、行かんけど」

「行くの!」

「いやだ!」



まあどっちが勝つって言ったら、宿題をうつさせてくれた町川殿なわけなのです。