なんとか絞り出した声は小さく、えっ、と彼が思わずといった様子でもらした言葉に消えた。

勢いで体を乗り出したまま困惑している彼の雰囲気がひしひしと伝わってくる。

彼の困惑ももっともだと思う。
昔は、こんな風じゃなかった。

「人の目が、どうしても苦手なの」


納得したのかしていないのか、一度乗り出していた体が座席におさまる。目線は相変わらず強いままだった。