これを溺愛だとは認めない!

水道の蛇口を捻りると、透明の水が勢い良く流れた。


それから、五分が経過しただろうか。

桜色の爪が綺麗な手をずっと水で洗う雅。


鏡後しに見えた雅の表情は唇を噛み締めており、凄く憎しみの感情を感じる。


怖くて目を逸らした瞬間だった。


あたしの方に飛んできた水飛沫で、制服が部分的に濡れてしまった。


「あ、あの……?」


明らかに水飛沫をこちらに飛ばしたのは、雅。

その顔にはうっすらと笑っていて、体が震える。