これを溺愛だとは認めない!

「……」


冷めた目でこちらを見ているたま。

そんな目で俺を見る女なんて居なかった。

一体、なんなんだよ……


「おい、たま!!」

「手。離してください……。
学校に遅刻しちゃいます……」


こんな風に言われたのは初めてだからか、胸がチクリと痛む。

手を引っ込めたら、笑い声が響いた。


「流石、環さん!!」

「真面目だねー!!」


そうだとは思っていたが、たまは真面目なのか。


「……」


結局、再会の喜びを確認し合う事無く、たまは学校に向かってしまった。