「そんなに夢中になれるものがあって、なんで海に飛び込むような決断に至るんだ」
「……色々あるんです」
「色々ってなんだよ。別に俺、お前のジジババに言わねぇよ。ただ、知りたいだけ」
「知りたい?」
「ほら、独り言だと思って話してみろよ。会って一日も経ってない他人だと思えば、少しは気楽だろ」
「…………」
洸は私が話しやすいようにする為か、私から視線を外し、先程知り合いから貰った焼きそばのパックを開け、割り箸を咥えてパキッと半分に折る。
焼きそばを食べ始めた洸の横顔に、私の心は自然と傾いていく。洸と同い年くらいの担任は、私を否定した。だからもう、誰にも話す気なんてなかったのに。
話してみても良いかな、と思わされてしまった。
私は体育座りをして、膝に額をくっ付けながら、口を開く。



