初恋は海に還らない





「ん、これ持っとけ」



 洸にラムネの瓶を渡される。


 貸し出し用のレジャーシートとパラソルを持った洸は、砂浜に向かっていく。私もその後を黙って追った。


 この海は海水浴シーズンなのにそこまで混み合っておらず、観光客というよりも地元の住民達で賑わっていた。


 あちこちから洸が名前を呼ばれ、私の紹介をする。すると皆祖父母を知っていて、お菓子やジュースを分けてくれた。


 私の両腕が貰ったものでパンパンになったくらいに、人混みから外れた場所にパラソルを立て、レジャーシートを敷いた。



「よし都、座っていいぞ」
「……すごい量貰いましたね」
「お前のジジババの人徳だな」
「いや、それだけではないと思う……」
「ラムネ飲もう、喉乾いた」



 ラムネを手渡され、私は人一人分の隙間を空けて洸の隣に座る。パラソルで作った日陰のおかげで、やっと一息つけた。