そして、その向こう側に広がっている大きな海を指さした。真夜中の不気味な程黒い海はそこにはなく、太陽に反射し、キラキラと揺らめいている。
その光景に、少しだけ胸がときめいた。
「ほら、行くぞ」
「…………」
ガードレールを軽々越える洸の後に続き、その隙間から砂浜に下りる。
砂に足を取られ、よろけると、手首を掴まれ支えられる。そしてじろりと何か言いたげな目で見下ろされる。
「お前もっと飯食え。ヒョロすぎ」
「余計なお世話なんですけど」
歩き出した洸の後をついていくと、とたん屋根の建物に向かっていることに気が付く。



