「ッ!」

ヴィンセントが弓を放つものの、軽々とドラゴンたちは避けていく。そして焦りを見せるイヅナたちを嘲笑い、村人を捕らえようと鋭い爪のついた手を伸ばす。

「あなたたち、理性があるんでしょう。嫌々こんなことをしているように見えない。人をどうして襲うの?」

イヅナが叫ぶように言うと、ドラゴンたちは一番大きな声を上げて笑い始める。

「そんなの一つに決まっているだろ。人間を喰うためだ。人間は小さいがどんな肉よりうまいんだよ」

「あと、人間の怖がる顔や命乞いをする声がたまらん。あれを聞くと胸がわくわくするんだ」

下品な笑みを浮かべ、高笑いをするドラゴンたちを見て、イヅナの薙刀を握る手に力が入る。彼らは、救いようのない命である。

「……私、今までどんな妖も話せばわかってくれると信じてた。でも、あなたたちのことは許せない」

薙刀を構え、イヅナは走っていく。そして地面を蹴ってウサギのように大きく飛び上がり、ドラゴンを斬り付けようと薙刀を振った。