最悪の事態を想像し、イヅナとレオナードは顔を見合わせて顔色を変える。そんな中、ヴィンセントは針金をポケットから取り出し、南京錠に差し込んで鍵を外していく。

「生贄と村人たちは言っていたから、生かしておく必要がある。最低限の食料や水は届けられているんじゃないかな?」

全ての鍵を外し、ヴィンセントはドアに手をかける。そしてゆっくりとドアを開けていくと、「ひっ!」と中から悲鳴が聞こえてきた。

ドアが全て開くと、ムワリと埃っぽい空気が流れてくる。狭い室内は明かりがほとんど差しておらず、部屋の隅に簡易トイレが置かれている。床にはボロボロの毛布が一枚置かれ、そこに二人の少女が体を震わせながら互いに抱き締め合い、イヅナたちを怯えた目で見ていた。

「……お姉さんたち……誰……?」

「私たち、死ぬの?」

イヅナは目線を合わせるためにしゃがみ、薄汚れた二人を抱き締める。突然このような場所に閉じ込められ、生贄と言われ、どれだけ怖かっただろうか。イヅナの目の前がぼやける。