村人から話を聞いた後、イヅナたちは山道を走って行く。呼吸が荒くなり、汗が頬を伝うも、足を止めることはできない。

村人たちは妖の生贄として身寄りのない双子の少女を選び、逃げ出さないように山の中にある小屋に閉じ込めていたのだ。

「本当におんなじ人のやることかよ!!」

レオナードが強い怒り混じりに言い、イヅナも「そうね、あり得ない」と同意する。生贄を差し出そうなど、正気の沙汰とは思えない考えだ。

「一体、いつの時代の考えだって言うんだ……」

ヴィンセントもため息混じりに言い、パルマー村にまた来たいと言うイヅナの思いは風船が破裂するように一瞬で冷めていく。

「小屋ってあれかしら?」

イヅナたちの目の前に、ボロボロに朽ち果てた木造の小さな小屋が見えてくる。その入り口のドアはいくつも南京錠がつけられ、開けることはできない。だが、小屋の中に誰かがいる気配はなかった。

「小さい子どもなら泣き叫んだりするんじゃねぇのか?」

「ということは、もしかしてもう……?」