「また人間を喰いに来てやったぞォォォォォォォォ!!」

興奮気味に叫ぶそのドラゴンの腕には、幼い少年が捕らえられていた。そして母親らしき女性が泣き叫んでいる。

「僕が行く!!」

ヴィンセントがすぐに弓を構える。幸い、ドラゴンはイヅナたちには気付いておらず、泣き叫ぶ村人たちを見て笑っていた。

ヴィンセントは狙いを定め、指を矢から離す。飛んでいった矢は風を切り、ドラゴンの目に突き刺さる。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

激痛にドラゴンが暴れ、村人の家に尻尾が鞭のように当たる。そして数十秒後には、何人かの家が瓦礫の山と化した。

ドラゴンは暴れ回り、子どもを手から落としてしまう。母親や他の村人たちが息を呑む中、レオナードが素早く動いた。

「よっと!」

地面を素早く蹴り、まるで鳥が空を飛ぶように、獣が地面を駆けるように、レオナードは走っていく。そして落ちていく子どもを受け止め、素早くドラゴンから離れた。