「妖から皆さんを守るため、こちらに伺ったアレス騎士団のヴィンセント・レゴシです」

「同じく、アレス騎士団のイヅナ・クリアウォーターです」

「アレス騎士団のレオナード・ロマーナです」

三人が自己紹介をすると、老人はゆっくりと顔を上げる。そして、掠れた声で「モーリス・ミネルヴァです……」と呟くように言った。

「妖の被害に遭ったと聞きましたが、どのような被害に遭われたのか、詳しく教えてもらえませんか?」

イヅナが訊ねると、モーリスは「ええ……」と言いながら目の前に用意されたお茶を飲もうとする。だが、そのカップを掴む手は小刻みに震え、顔色は真っ青になっていた。

「数日前から、時々ドラゴンや得体の知れない化け物が村人を襲うようになったんです。何人もの命が失われ、村人はみんな、次は自分が殺されるのではと怯えています。そしてさらに生贄まで用意してーーー」

刹那、役場の外から大きな悲鳴が聞こえてきた。イヅナたちはすぐに立ち上がり、部屋を飛び出す。そして役場の外に出ると、そこには全身を黒い鱗で覆われた巨大なドラゴンがいた。