パルマー村は、昔ながらの建築方法で建てられている家が多く、どこかノスタルジックな雰囲気がある。

「こういう村、何だか素敵ね!任務じゃなかったらあちこち写真を撮ってたかも」

イヅナがそう言いながら村の風景を見つめていると、「今度任務がない時にまたここに行こうよ」とヴィンセントが頬を赤く染めながら言う。

「パルマー村って、面白い伝説がたくさんあるんだ。ゆっくり紹介したいから」

「ヴィンセントって本当に物知りね。いいわよ、今度二人で来ましょ」

イヅナが笑うと、ヴィンセントはホッとしたような顔を一瞬見せた後、優しく微笑む。そんな二人の様子を見て、レオナードはニヤついていた。

村の中に入った三人は、すぐに村長のいる役場へと向かう。赤煉瓦で作られたオシャレな役場の中に入り、村長室へと案内してもらうと、人が五人ほどしか入れなさそうな小さな部屋のソファには、疲れ切った顔をしてどこかくたびれたスーツを着た老人が座っている。